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「あんまり空きすぎて、もう村の人達でもいいかなと思ったんだけど、流石に……ねえ?」
なんだこいつは!?
言い様のない不安を、マードックは覚えた。
男が何の話をしているのか、“強面”には判らなかった。
暑くもないのに、体中を汗が濡らしたそのわけも。
「だから良かった。君達が来てくれて。――山賊さんなら、悪者なら、気兼ねなく吸える――」
いつの間にか、男の手には武器が握られていた。
目を離した覚えはないのに、山賊たちの誰一人として男がそれを抜く所を見た――認識したものはいなかった。
男の武器。それは剣ではなかった。
先へゆくほど細くなる金属の棒。
先端は鋭く尖っている。
「針…」
マードックの横で、仲間が呻いた。
身の丈ほどもある巨大な針。
それを武器として振るう者を、マードックは一人だけ知っていた。
“ピアッサー”……
「レイフォルスさま!」
不意に女の声が響いた。
そしてそれは同時に、殺戮の始まりを告げる鐘の音となったのだった――――
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