華月大神の間にて

3/4
前へ
/16ページ
次へ
さて…その情けない神である彼は、 生き物を愛し、地を愛し、すべてを愛しました みかけは良いのですがその分、血を分けた家族は放っておくことが多かったのです 彼は稀に未来を見る事が出来ました まだ植物が芽吹いたような時代、彼は生き物を…正確には生き物の元となる小さな生物を創造し、地球で自由に生活出来るようにしました しかし、楽しんでいた生物の進化もだんだん笑える自体ではなくなってきていました その時、彼は未来を見たのです 生物の進化の果て、ニンゲンという部類が生物の頂点に立ち、地球を支配する未来を。 ニンゲンという生物は、地球に害なす存在では飽きたらず、争い、奪い、時に殺め 愚行を重ねた先、死して尚他者を苦しめる魂に成り果てる姿を、 ニンゲンの悪意に飲まれ、死んでいく地球を 見てしまったのです 彼は嘆きました すでに種は撒いてしまったのです 彼は創造することが出来ても、破壊することもやり直すことも出来ません 自分の力を打ち消す存在を創造することは不可能でした このままではいづれニンゲンが生まれ、地球を滅ぼしてしまう 気が狂い始めた彼は、ある愚行を始めてしまいました ワタクシには止める手立ては無かったのです 自分と同じくらいのチカラを持つ神を創るなど、 不可能でした ですが彼は実行したのです 多大な犠牲を覚悟して 不可能なことを可能にするため、彼は自分の子供になるであろう神を 創造し、失敗し、死なせて なんどもなんども、繰り返しました 幾百の年が過ぎた頃、一人の神を創ることに成功しました チカラも、何もかもが劣っていましたが 限りなく成功に近い、息子が出来ました これが後に地獄の長となる閻魔…千代となります 名付けはワタクシがしました 彼は姿は大人の男でしたが、中身は赤子のように無知で、無垢でありました しかし、創造主の彼は千代の面倒を見ることはおろか、彼に見向きもしない 彼の頬をはったこともありましたが、彼の目を覚ますことは出来ませんでした なんとも歯がゆく、 情のわいたワタクシが千代の親代わりとなりました 千代は大人しく、心優しい子ですが 千代にはニンゲンの暴走を止める術が無いのです
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加