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「まだここ、いた、オイ」
扉からひょっこりと顔を覗かせた弟分に
白銀の彼は疲労を悟られまいといつもどおり
まるで長年のクセのように染み付いた笑顔を溢す
「すみませんね、なかなか手強くて」
「構わんが…」
鮮やかな青い髪を揺らして彼はのそりと部屋に入ってくる
その姿は少年で、短く切った短髪に細い指を絡めて扉の近くで止まった
白銀の死神と青の死神、彼らは同じ育て親に立派に育てられた優秀な死神であり、まあ教育上、兄弟のような仲ではあるものの…
互いをライバル視するあたり、あまり仲はよろしくない
常に会話は喧嘩腰だが、彼らには立派でごく普通なコミュニケーションである
なかでは制裁に入った部下が半ベソをかく程度に立派なコミュニケーションをしたとか。
しかし互いの長所短所を理解し合い、言葉ではあれやこれやと文句はいいつつ
いざとなればこれ程までに息のあったタッグを見れることはなかなか無いだろう
幼少の頃は喧嘩が半ば殺し合いに発展したこともあるが
育て親はそれを愉快そうに笑って流していた
思えばコレが互いの欠点を知り、ささやかな絆を築くチャンスだったのかもしれないと、今更ながら思ったが
育て親も、それを見越して喧嘩を放置、なんてザラにやってのけたかもしれない
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