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邂逅
ひたすらに走っていた。
ドレスの裾が裂けて、ぼろぼろになるのも構わず。
きちりと結い上げていた髪が乱れ、ざんばらになるのも構わず。
逃げていた。
彼がいないという現実から。
忌み嫌われる自分から。
彼が最期に渡してくれた、使い込んだ魔法剣。
それを振るって、辺りの藪を斬り払いながら、私はひたすらに山を下りた。
雪がちらついていたけれど、寒さは感じなかった。
やがて、足元が比較的なだらかになり、静かな森の中に入り込んだとき
私は、出会ったのだ。
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