第3話 青い星で

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喜びの中に焦りが見え始める。諦めるなんてことは絶対に許されない、集中するんだ。さらに気を研ぎ澄ませて箱の瘴気を辿る。 そのうちに、何者かが山へ踏み込むような気配を感じ取った。 「だして…でたいの…」これは…アースの言葉の、英語だろうか。 低い位置に茂った木々のその向こうから現れたのは、地球人の子供だった。 目は開いていないから、眠っているのだろうか。よろよろと頼りない歩調で、遺跡へと向かっているようだ。 眠っているにしても、随分と弱々しい気配なのが気にかかる。そうだ。以前、別の惑星で似たような気配を感じたことがある…。 パンドラボックスの病魔に侵されている患者のそれと、同じじゃないか? 《!》 あの子の手にあるものは、まさか。 銀色に輝く美しい箱――パンドラボックスだ! 幸いにも、蓋は開いていない。しかし、彼は。 「…だして…ここから…でたい…」石を手に取り、鬼気迫る様子で箱を殴りつけている。箱の封印を壊そうとしているのだ。 あの子は、自分が何をしようとしているのか分かっているのだろうか? いや、分かってないだろう。恐らく、あの子は催眠状態にある。箱に魅入られてしまっているんだろう。 あれで箱が開くとは思わないが、一刻も早く破壊しないと何が起こるか分からない。 パンドラボックスの厄介さは、中身の危険性に限った話じゃないのだから。 厄介なことになった。今の私は、肉体と呼べるものを持っていない。 何か丁度よさそうなものは…。 急降下しながら肉体になりそうなものを探すが、箱に対抗するにはどれも頼りなく映ってしまう。 しかし、選り好みしている場合ではない! その時、遺跡近くの道を走る白と赤色で構成された車が通りがかった。 情報は習得済みだ。 《…これだ!》
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