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「もしかしたら、遺跡の幽霊が…」見た目に反して臆病なこの後輩が、かなりのオカルト信奉者だったことを思い出す。
「おい。それ以上は言うんじゃねーぞ」
コリンズは震える握りこぶしをルークラフトのとんがった鼻へぶち込まないよう、最大限に努力した。
…寝入りばなに起こされたことも、機嫌の悪さに拍車をかけているようだ。
「幽霊なんて居るわけねーだろ。ははぁ。お前、さては寝てやがったな?」
実のところ、ルークラフトの忍耐はとっくの昔に限界に達していた。「ね、ねてませんよぉ!」呂律が回らない状態で潔白を主張する。
「そういう先輩こそ、ぐぅぐぅと!俺だって眠いんですよ!?」「俺は先輩だぞ!」「知るか!」
話は発光現象から完全に逸れて、口論へと発展していった。
両者とも、日ごろの鬱憤を晴らさんと、回らなくなってきた頭でありったけの罵詈雑言を並べ始めた。
運転席・助手席ともにシートベルトが外され、ドアが“勝手に”開いたことには気付いていない。
《すまない。緊急なんだ》
カーステレオのディスプレイが点滅したと思ったら…シートが飛び出し、二人仲良く宙を舞うようにして茂みに吐き出された。
こうして、可哀相な救急隊員2名は、人気のない夜の森へ置き去りにされてしまったのだった。
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