第1話 嵐の日

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その日の授業は、いつもと変わらない、とても退屈なものだったんだ。 臨時で来たホプキンス先生の授業はつまらないし、難しい。 それに、教科書にだって載っていないような問題を出してくるんだ。 前に、晩御飯の時にお父さんに喋ったんだけど、小学校3年生が勉強する内容じゃないんだって! 今、黒板にはサンジカンスウとか、ヘイホウコンとか言う数字と文字と変な記号が混ざった、めんどくさそうな式が書かれている。 ホプキンス先生が黒板から、ぼくらの方へ向き直って、とびきりの笑顔で言った。 「誰か。答えられる人は居る?」 誰も手を挙げない。「そう。じゃ、先生が答えるわね」 ホプキンス先生はチョーク塗れの手をこすり合わせて、また黒板に向かった。 書いてることも分かんないし、解説もやっぱり意味が分かんない。 テストには出ない(らしい)から、とりあえずペンを持って、書き込むフリをするんだ。 そうしないと居残りにされちゃうから。
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