第4話 パンドラの箱

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何だろう。頭がぼーっとする…。それに、ふわふわしてて落ち着かないや。 もしかして、夢の中を探検してるのかなぁ。 体の自由は上手く聞かないけど、見たことある場所だ。真っ暗だけど、ここってお山の遺跡だよね? 左手に持ってるのは…うわ、あの宝石箱だ。夢の中にまで出て来なくっていいのに。 きれいだけど、気味の悪い宝石箱…。うう、嫌だなぁ。 で、右手に持ってるのは何の変哲もない、石。 何に使うのかなって考えてたら、夢の中のぼくは石を振り上げて宝石箱を滅多打ちにし始めた。 がっつん、ごっつんと、やけにリアルな手ごたえを感じる。自分でも信じられないくらいの力で殴りつけてるみたい。 それでも、宝石箱には傷一つ付いてないや。 いまさら何だけど、これって本当に夢の中の出来事なのかな。 右手も左手も、殴りつける衝撃で結構痛いんだよね。なんだか血も出てるみたいだし…。 こんなことしたって開く訳ないんだし。痛いのは嫌だな。止めよう。 あれ? おかしいな。止められない。むしろ、余計に力が入って「意地でも開けてやる!」って感じになっちゃってる。 その瞬間――どうにかして開けないと。箱を開けないと一生このまま…。 何の根拠もないけど、突然そんな考えが浮かんできて、無性に怖くなった。 でも、心のどこかでは「開けちゃダメ!」って聞こえる。とっても小さな声で…すぐに怖い気持ちに消されちゃったけど。 とにかく、この変な夢から醒めるには宝石箱を開けるしかないみたいだ。 きっとどこかにカギがあるはず。 右手はもう石を持って無かった。そのかわり…銀色の短いカギみたいなものを握っていた。 きっと、これだ。
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