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後ろ手にされてる両手の甲で畳を押しながら庭に向かった。
鞠のような牡丹を影絵にしている障子の桟に、縛られた両足を引っ掛けると、思い切り開けた。
途端、突風が吹き、牡丹の花弁が風に舞った。
瞬間、意外なものが俺の眼に飛び込んだ。
咲き乱れる牡丹の隙間に、生首のようなものが瞥えたのだ。
「ヒェッ」
驚きの余り、俺は思わず後退りした。
よく視るとその顔は、……美香に似ていた。
「グヴェーーッ!」
「見んかったら、死なずに済んだのに」
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