乱れ髪

3/11
前へ
/11ページ
次へ
 俺はホッとすると、笑みを浮かべている美香と目を合わせ、急いで家に入った。 「ありがとうございます」  透き通るように色の白い女に礼を言った。 「お邪魔します」  美香も続いた。 「濡れましたやろ? 今、手拭いを持ってきますよってに」  女はそう言って、下駄を脱いだ。  古色蒼然とした家の中を見回すと、今時見た事のない行灯(あんどん)が、淡い光を揺らしていた。  ーーいつの間に眠ってしまったのだろう……目が覚めると、蒲団の中にいた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加