乱れ髪

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 四畳半ほどの間取りであることを、襖の間から入る薄い明かりが教えていた。  身を起こそうとして、ふと、自分の身体に触れて愕然(がくぜん)とした。……全裸だったのだ。  どうして裸なのか、と朦朧(もうろう)とした頭で記憶を辿(たど)ってみたが、思い出せなかった。  あっ! 美香はどこだ? 「す、すいませーん!」  思い切り声を出した。 「へー」  女の声と共に襖が開いた。 「あ、彼女は?」 「へ。なんや怒られはって、先に帰られましたけど」  明かりを背後にした女の口許が(かす)かに動いているのが見えた。 「帰った?……」
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