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それぞれのマグカップに淹れた緑茶と紅茶を蓮と華憐に渡すと優軌は再び会長と書かれた席に戻る。
「そういや、優軌、雄斗。春休みの宿題って終わった?」
「「何を言ってんだ、お前……」」
唐突にそんなことを言い出した蓮に隣に座る雄斗と優軌が呆れた声で返す。
今は5月で春休みの宿題というものは4月つまりは1ヶ月前に提出だったはずだ。
「いや~。まだ全然、終わってなくてさ、どっちか写させてくんない?」
あははと笑いながら言う蓮と、自分の事でもないのに優軌と雄斗は頭を抱える。
「能美、お前……」
蓮の正面に座る桜が哀れんだ目で彼を見る。
「ちょ、ちょっと、篠崎さん?何故そんな目で俺を見るの?」
正面の目線に気付いた蓮が周りをキョロキョロと見て助けを求める。
しばらくそうしていたかと思うと急にピタリとキョロキョロとするのを止め、桜を見て「あー」と何故か納得して
「――大丈夫!篠崎や西屋には借りないから!」
と元気に言った。
そんな蓮に依然として頭を抱える雄斗が聞こえるか聞こえないギリギリの小さな声で
「ダメだこりゃ」と言い、桜と優軌がゆっくり頷き同意する。
「―――お茶がしみる~」
そんなやりとりの外で華憐は1人優雅に紅茶を飲み落ち着いていた。
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