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数分後。
アホの蓮には雄斗が宿題を貸すことになり、事態の収拾がついた頃に会計の松本電磁朧と書記の石乃達也の後輩コンビがちょうど生徒会室に来た。
「すいません、遅くなりました」
「遅れました」
メガネを掛け見た目は優等生の電磁朧と、制服を着くずし、髪を染めた見た目は不良の達也は意外と仲が良く生徒会になる前から友人だったらしい。
優軌はそんな見た目は正反対の2人をとりあえず座らせ、全員にプリントを配った。
「いま配ったのは来週末にやる全校ボランティアをする場所の見取り図です」
優軌は生徒会長らしく真面目にプリントに書かれた事を説明する。
場所は小さな公園ではなく、例年通りの一応は観光名所でもある学園近くにある都市公園だ。
で、その見取り図と言っても案内図をコピーしただけのものなのだが。
「この公園内をクラスごとに分担し、清掃活動をします」
「要するに去年と同じだろ?」
「まあ、そうなんだけどね。でも毎年どのクラスがどの場所をやるかって事は生徒会が決めてるらしいよ」
優軌は雄斗にそう言い、近くの本棚から去年までの事が記された分厚い記録ファイルを取出し、見る?と言わんばかりに彼の目の前においた。
瞬間、活字の嫌いな蓮と達也は少しファイルから離れた。
そんな2人にため息を吐きつつ桜は席を立ち、わざと2人の目の前でファイルを開いた。
「「ギャァァァァッ!!」」
「2人って活字が苦手じゃなくて活字恐怖症だよね」
「にっこり笑いながら言う事じゃないから……」
「……桜先輩って何げに酷いですね」
身悶える2人を見て笑う華燐に一応優軌はツッコミをいれ、電磁朧は桜に対して恐怖を覚え、雄斗は引きつった笑みをこぼす。
桜はしばらく2人を身悶えさせながらファイルにとじられたプリントを読むと、面倒そうにファイルを閉じ、優軌に返した。
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