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「お疲れ、誰かいる~?」
ゆっくりとドアを開き、中に向かって呼び掛ける。
「居るわよ。と言うか、クラスが一緒なんだから普通はわかるでしょうが……」
優軌としては予想外の反応、呼び掛けに応えたのはクラスメイトで副会長の篠崎桜だった。
「なんだ、桜だけか……」
「私だけで悪かったわね」
不満そうに優軌は言い、手に持ったスクールバックをいつの間にか荷物を置く場所となった通称"定位置"に置かれた桜のバックの隣に置き、コの字型に並べられた長机の会長と書かれた場所に座る。
「なぁ、桜。なんで会長だけ椅子が固定なんだ?」
「私に聞かれても、答えようがないのだけれど。たぶんそこが中央だからじゃないかしら」
いつも通りの黒髪ポニーテールを揺らしながら桜は興味なさそうな口調で言う。
確かに優軌の位置からは左右に3脚ずつ椅子が置かれていて桜の言う通りだと彼は思った。
「なるほど、さすがは姐さん」
「……だれが姐さんか」
桜は「まったく」と呟くと手に持った本を開き、読書を始めてしまった。
優軌はそんな彼女に笑い、おもむろに席を立つ。
教室ほどの広さをもつこの生徒会室には色々なものが存在し、今から彼が使おうとしているポットもその1つである。
役員はそれぞれ専用のマグカップを用意してあり、優軌は自身のマグカップに緑茶のティーバッグを入れ、お湯を注ぐ。
これは前期生徒会長つまりは雪楽が置いていったもので本人曰く、「会議をスムーズかつ、円滑にするため」だとか。
まぁ、校則違反だが……。
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