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―回想―
「おーい!!ゆーきー!!今日の飯って何ー?」
不協和音。
春爛漫のこの季節。
心地よーい日差しを浴びながらベッドでゴロゴロする至福の時間に
バーンッッ!!! と大きな音を立てて入ってきやがりましたのは我が愛しの兄貴サマの佐川 友樹(ともき)だ。
「オイコラ、ノックして入ってきやがれよクソ兄貴」
「…なぁー、俺!!きょうの晩飯、焼き肉がいい!!」
「いや、人の話聞けよ……金ないからヤダ」
「黒毛和牛!!」
「もっと高ぇじゃねーか!!金ないっつうの!!」
「黒毛和牛!!」
「オイ、聞いてないだろうボケナス。耳引きちぎるぞ」
「黒毛和牛!!」
「…。」
きりがない、聞こえないふりしよう。聞こえないふり。
「じゃ、霜降り…」
「誰が買うか!!」
できなかった。
「なら黒毛和牛に決定な!!」
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