井上賢介と恋心

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7月2日の午後1時35分。 午前中の授業が終わり昼メシをはさんだ後の5限は、 いつもみんな眠たい顔をしている。 しかもよりによってその5限の授業が数学Bなので、みんなはより一層眠くなる。 2年5組の教室の1番廊下側の一列の1番先頭で眠い目を擦っている青年は、 出席番号1番、天野翔平だ。 アダ名はコングであり、顔は整った方で、髪は短め。 明るい性格で、友達が多い。 その後ろで目を輝かせながら数学Bの問題を解いている青年は、 出席番号2番、井上賢介だ。 アダ名はインテリであり、 小柄で中性的な顔立ちであり、メガネをかけている。 真面目な性格で、数学と物理が大好きである。 さらにその後ろで眠たそうに目を擦りながらノートをうつしているのは、 出席番号3番、宇山諒輔である。 アダ名はミスターであり、 高身長かつイケメンであり、女性からは間違いなくモテる存在だ。 しかしシャイな一面もあり、草食系男子ってヤツである。 そしてさらにまたその後ろでイビキをかいて寝ているのが、 出席番号4番、遠藤竜二だ。 アダ名はモトヤンで、ギロッとした目が怖い印象を与えるような青年である。 勉強が嫌いなのか、大抵の授業は、こうして寝ている。 モトヤンのイビキが教室に響いてる中、先生が言った。 「遠藤君…おい、遠藤君!起きなさい!」 白髪でメガネをかけた、50代の細身の先生が、モトヤンを注意する。 「おい遠藤!遠藤竜二!起きなさい!」 モトヤンは全く起きず、しかもさらにイビキが大きくなった。 コングが後ろを向いてモトヤンを見て、笑った。 インテリもクスクス笑っている。 ミスターはため息だ。 「宇山君、遠藤を起こしてくれないか」 ミスターはクルッと後ろを向き、教科書を丸めて パコンッ! とモトヤンを叩いた。 「うわぁぁ~空襲だ~!!」 そう叫んで慌てて立ち上がったモトヤンに、クラスのみんなが笑った。 「はっはっはっ!なんだよ空襲って?どんな夢みてたんだよっ!」 コングも大笑いしている。 ハッとなったモトヤンは顔が赤くなり、恥ずかしそうに席に座った。 そして眠かった5限も楽しくなり、あっという間に6限も終わり、放課後に。
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