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赤い髪の人はさっきまでは、確かに怖いと感じていた。この手の持ち主も。
でも今は違う。ここにいるこの人達は兄さんって人を知らな過ぎる。
「…凛、これは約束から除外でいいよな?」
そう問いにながら、俺の後ろに目を細めるこの、綺麗な人が
「………ほど、…ほど」
泣いた所なんて、俺は見た事がない
「ああわかってる、全員」
その目が赤いのは。秘密話をするように、自分の唇に指で触れ口だけ動かす姿が、すごく可愛い俺の兄さんって人が
「ぶっ殺すから」
怒りで興奮してる証拠だから
………ほどほどって言ったのに
「まぁ、とりあえず?」
人の話を聞かない事にも定評のある兄さんが
「なぁ…」
肩に触れる相手を見上げ
「…ス、がよぉ」
その姿に見惚れている相手に
「俺と凛のいる空間で」
婉然と微笑み
「息を吸うなよ。なあ?」
容赦なく
「っが…!」
回し蹴りを放ったのが、始まりだった。
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