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空(クウ)を抱く腕が欲しい
霧をかすめる爪に少し
纏わる露を舐めとって
遠くの巨森が霞むほど
深く冷涼な霧が或る
私は高台の岩の上で明日を讀む
トンビが近くを飛んでいる
己の迷いで森に迷う
踏んだ草木に花は香る
雨は鼻を惑わせる
落とした心を探すよう
目を凝らしても何も無い
傷を分け合う二樹の洞
雨と風はしのげるか
忘れたばかりの悪意を尚
思い出しては涙する
冷えた躰を温める
衣も何も今は無い
――――冷涼なる空気だ
孤独がとても愛惜しい
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