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御門柚は人差し指でコメカミを掻いた。
クールで美しいその顔の口元は若干引きつり、鋭い目が力なく細められている。
隣の御門姫伊も、可愛らしいその顔を固くしていた。
「アスカ……ファッションには興味ない私と言えど、それはないと思うぞ………」
「うん、私も………」
二人の前にいるのは十六夜飛鳥で、スーツのような綺麗な服装をしている。
それだけならば、自分の体型を理解した美しい女性なのだった。
しかし、問題は顔にあった。
アスカの顔立ちは、ユズとは対象的だが稀に見るほどの美しさだ。
では、何が二人の顔を引きつらせたのか。
答えは左眼にあった。
「あ、姉御!? キィ殿!?
拙者、この眼帯、かなり気に入っているのでございますよ!?」
黒に金刺繍の施された眼帯を装着していた。
これが、アスカという女性の価値を台無しにしている。
「お前……今日の任務はアゲハも来るんだぞ?」
呆れたように言うその声にビクリと反応したアスカは、それは本当でありますか? と問い返す。
ああ、という首肯に焦りを見せたアスカは咄嗟に眼帯を外すと、オロオロと隠し場所を探し始める。
ユズは鼻から長く息を吐き、首を横に振る。
隣のキィを一瞥して、黙って頭に手を乗せた。
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