序章

3/3
前へ
/7ページ
次へ
それよりさ、と置かれた手を握ってキィはユズの顔を見上げる。 ん? と鼻を鳴らしながら視線を下ろして、優しい顔を作る。 キィを見ると頬が緩み、自然体になっていくのが自覚出来る。 勿論アスカといる時にも自然体でいられるのだが、それとは何処か違った感覚のような気がしていた。 「今回の任務って何なの? ナトルさんも来るんでしょ?」 その質問に対してユズは、ああ、と返事をすると、 「獣竜の群れがこの街の近くに彷徨いてるらしくてな、それの狩りだ」 それを聞いたキィは、だからか、と頷く。 フンとユズは鼻で笑うと、それだけじゃないがな、と不敵な笑みを浮かべた。 首を傾げるキィの頭をグシャグシャと撫でた後、 「ま、キィはまだ子供だってことだ」 むぅ、と唸るキィとユズの間に影が割り込む。 と、同時に二人の顔が固まった。 「姉御ぉ、どうしましょう?」 何故かヒョットコの面をしたアスカがいた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加