八月一日AM7:42

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「最初に言ったようにぱーちゃん支給は出生届受理後一週間以内に発行されるわ。それからそだつにつれ自分でオンラインで情報をかきかえる。このときのやり取りは聖母アリアと各自のぱーちゃんのみの独自のオンライン回線なのよ。外部からの侵入は無理」 「んん……?つまりは自分の端末じゃなければ情報を操作できないってことだよな。そんで端末はこの国で生まれないと貰えない。ああ、なるほど。だから俺の情報はないっていいたいわけだな」 「そ。無くした際の発行は当然パーソナルデータをまた真っ白な端末に入れるわ。そのときに架空の個人を名乗っていたら問答無用でブタ箱いきね。該当するデータがないんですもの」 聞けば聞くほど奈落に落ちて行く感覚。再発行は無理だし他に手にいれる手段はない。八方どころか十方塞がりだ。端末がない限りこの国から出ることは叶わない。 「ちなみに端末なくて外へでようとするとどうなるんだ?」 「まあ無理ね。名を連ねる優秀な魔法師を警備に派遣されているし、万が一出れたとしても国際手配。死ぬまで平々凡々な生活は出来ないわ」 「どーしろってんだ……」 「ちなみにバイトの面接も就活にもこれが必要になるから。個人情報の塊がそのまま面接カードになるし」 「……」 頭が真っ白になった。これで出れないし働けない。金すら稼げない。まさに詰んだ、というやつだ。
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