八月一日AM7:42

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「……。……ん?ちょっとまてよ。なんでデータにない俺のぱーちゃんで俺は中に入れたんだ?なあ、勿論入国の際データ照合とかあるよな?」 彼女はにやりと笑う。 「当然。個人情報を見て監視を付けるか決めるわけだし」 「俺のデータはない。つまり俺の端末は使えない。だから、そうか他人の端末を使ったのか?なら少なくとも端末を手にいれ、ばれないで使う方法があるってことか……?」 太陽に雲が被さった。辺りが急激に暗くなり、路上に一層濃い陰影をつけた。 「ご名答。やるじゃない。途中は取り乱してダメかなーって思ったんだけど冷静になるのも早いし頭もまわる。力がものをいうこの国で生き延びるのは頭の良さも大事よね。暫時の逡巡が勝敗をわけるなんてこともざらだし」 「何を……言ってる?」 少年は茫然とつぶやいた。出会って数十分の付き合いだが、それでも感じる豹変。その違和感に体をすくめる。 「どう?私ならあなたを助けてあげられるけど?」 風に雲か流され太陽が露わになる。木漏れ日から眩い太陽光が少年の目を刺激した。幸い、というのだろうか。そのおかげで少年は少女の怪しく弧を描いた唇を見ずに済んだ。 その笑みはまるで命の価値を知らない子供の、無邪気で冷酷をうちに秘めているようであった。
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