八月一日AM8:24

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帝国都市 総人口約一億人。 面積は北海道ほど。 独自の技術を使用した人工島であり、擬似魔法情報提供国として非干渉国。内政はもちろんのこと軍事介入も許されない安全の国である。 が、軍事転用できる技術を取り扱うがゆえにどこかのスパイや擬似魔法開発研究員などの拉致や口封じを行うテロ集団も暮らす。地上では滅多にそのようなことはないが、地下に広がる通称地下都市は帝国騎士団ですら対処できなく、犯罪の温床となっている。 「安全なのかどうかわからないな……」 貰った簡単なパンフレットを見ながら一人ごちる。そこにはイラスト化されたぱーちゃんの絵も載っていた。普通のタブレット型の携帯のようなフォルムに短い手と足が生えたなんとも日常生活に支障がでそうな体型だった。 ちなみに帝国のイメージキャラクターらしい。道歩く女子高生のぱーちゃんにはミニぱーちゃんのストラップが付けられているのを見たし、五歳くらいの子供がぱーちゃんがプリントされた服を着て元気に飛び回っているのも見た。 どうやら国民的キャラクターの地位を確立しているらしいが、よそ者の少年からしたら首を傾げざるを得ない。 「……そんな可愛くないだろ、あれ」 と言うのが率直な感想だ。 「何さっきっからぶつぶつ言ってんのよ。さっさと行くわよ」 前を歩いていた少女からそう声がかかった。結局少年は少女に助けてもらうことにした。もとより選択肢などないに等しい。 了承するとなんの説明もなしにそそくさと歩き出してしまった。それから数十分歩きっぱなしだ。どこに連れて行かれるのか一抹の不安はあるか、それより好奇心が勝っていた。
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