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少女は顔をしかめた。まるで理解できない相手を見るような。
「補習じゃなくて普通の授業。今日は七月二一日だろ?」
「脳みそ腐ってるの?今日は八月一日。夏休み初日よ」
「……は?どういう、ことだよ……」
声にならない声が出た。視界が急に狭まる。先程まで気になっていた自分のパジャマも、通行人の目も気にならなくなった。少女の声が頭の中でリフレインする。八月一日。夏休み初日。
「そんなわけないだろ!?だって俺が寝たのは七月二十日で起きたら八月!?ふざけんな!どうなってんだよ!」
「落ち着きなさいよ」
「これが落ち着ついてられるか!ああ……最悪だ……。推薦で大学決めたかったのに……。一週間以上の無断欠席は言い訳のしようがない……。そうか!これはなんかの番組収録か!?お前も仕掛け人なんだろ!」
「残念だけど……」
少女がおもむろにポケットを探ると、赤い携帯のような端末を出した。それを手元で操作すると、少年の眼前に突き出した。
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