八月一日AM7:42

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そこには八月一日AM7:42分と表記されていた。急げば遅刻しなさそうだな、とほうけた頭でぼーと考えた。 「ま、これが嘘だと言われちゃあどうしようもないんだけどね。でもどこの誰に聞いても同じ答えが返ってくるわよ。八月一日だってね」 「……そうか」 元々テレビのドッキリ企画ではないことぐらい重々承知だ。先程のはただの現実逃避。こうであってくれと願いを込めた妄言に他ならない。 「ここから出ることはできないのか?」 帝国がどこにあるか、地理上のことは知っている。東京湾の南。帝国と東京湾をつなぐモノレールが走っており、三時間の所有時間を有する。つまり帰れない距離ではないのだ。 「無理ね。あんたぱーちゃん持ってないんでしょ?」 「だからぱーちゃんってなんだよ」 「これ」 と見せてきたのは時間を見せた端末であった。 「これはなんだ?」 「providing personal device.国民支給個人端末。通称ぱーちゃん」
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