八月一日AM7:42

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「これが何だって言うんだ?」 ぱーちゃんがなんなのかは分かったが、肝心のなぜこれがないと出れないのかが説明されていない。 「まず前提としてこれは出生届を出したときに支給されるの。そこには名前から国民No.、生年月日、出身高校、家族構成、ランク、身長体重からスリーサイズ、もちろん診察カードも兼ねているから持病とか、ありとあらゆる個人情報が詰まっているわけ。情報はオンラインで随時更新する。これは国民に課せられた義務」 「すげえな」 こんなもの日本ではなかったのでただただ感心する。監視されているようで少し気になるが。 「こっからが大事なの。このぱーちゃんはパスポートも兼ねているのよ。外部からの来訪は事前登録制で調査期間一ヶ月を設けてその間対象のパーソナルデータを洗うってわけ。もちろんプライバシーの問題もあるわけだから義務じゃなくて権利だわ。拒否すると入れないけど」 「当然、出るときもそれが必要になるってわけか……」 「ご名答。そーいうことよ。だからなんであんたがぱーちゃんを持っていないのにここにいるのか不思議でしょーがないってこと」 「誰かに盗まれたとか?それ盗まれたときは再発行してくれるのか?」 「もちろん。ただまああんたの場合はどうでしょうね。あんた帝国で生まれたわけじゃないんでしょ?」 「ああ。生まれも育ちも東京だよ」 「じゃああんたのデータは帝国図書館にはないわけだし無理ね」 「ちょっと待ってくれよ。中に入れたってことは俺のデータが登録されてるし、俺専用のぱーちゃんとやらもあるんじゃないのか?」
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