はじまりの物語

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昔々、あるところに不思議な鏡がありました。 人から人へ渡り、鏡は色々な所を旅をしました。 『お願い、お母さんを助けて。』 『友達と仲直りがしたい。』 『孫の顔を見るまで長生きしたいものだね。』 鏡を覗き込みながら、人々は願い事を口にすると 不思議にも、叶うじゃありませんか。 人々は感謝し、鏡の周りには笑顔があふれていました。 その鏡の中には精霊が住んでいて、願いを叶えてくれていたのです。 この噂は、瞬く間に大陸中に広がり、人々は鏡を求めました。 ついに、強欲な人間の手に渡りました。 『あいつが憎い。』 『世界中の金を、俺の手に。』 『私に逆らうもの全てに罰を。』 しかし、強欲な人間の願いは、叶う事はありませんでした。 鏡の精霊は自分の意思で、叶える願いを決める事が出来たのです。 それでも、人間は願う事を辞めなかった。 叶う事のない願いを、汚い願いを精霊は聴き続け、自分の中に蓄積していきました。 そして 精霊は、醜い感情に呑み込まれてしまったのです。
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