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少女は倒れました。
欲深き人間の手によって
精霊は発狂し、闇に呑み込まれてしまいそうになる中
少女は薄れゆく意識の中で願いました。
『一人は・・・・もう・・・嫌だよ・・・』
精霊は少女を生かす事を選びました。
力の源である霊力を分け与え、鏡を託したのです。
狂気に呑み込まれそうになる気持ちを押さえつけ、傍らに植えられていた
ガジュマルの木に、意識を閉じ込めました。
いつか、僕の力が必要になった時
鏡を持ってここに戻っておいで
僕は、必ず君の力になるから
少女が意識を取り戻した時
その手には、しっかりと鏡を握りしめていました。
とまらない涙を流しながら、少女は歩き始めました。
その後少女は、姿を隠すように転々としながら、旅を続け
鏡の装飾品をばらばらにし、大陸のいたる所に隠しました。
もう二度と、こんな事が起こらないようにと願いを込めて
そして、大陸の果てに辿り着き、そこでひっそりと暮らしました。
この頃から、精霊や妖精は人間の前から姿を消したのです。
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