追いつけない思考回路

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「良ちゃんケイの彼女知ってるんでしょ?なんで教えてくれなかったの?」 「・・・彼女!?圭吾の!?」 「うん!だって昨日ケイが言ってたもん!ツインテールの関西弁の子!あの子・・・すごいむかつくんだけど」 「ツインテールって・・・ウサギちゃんのこと!?えぇ!?なんでそんなことになってんだよ」 ウサギちゃん・・・?あだ名なのかな? 私の良ちゃんにそんなかわいいあだ名で呼ばれて・・・ケイの彼女だなんて やっぱりあの子大っ嫌い! 「あのさ、杏・・・その子はね」 「ケイと彼女の話は聞きたくない!ご馳走様でした!いってきまぁす」 良ちゃんの言葉を遮って食器をシンクに運んで、私はカバン片手に玄関をでた。 目の前の【津田】ってかいてある表札が目に入って「ふんっ」って・・・ケイじゃないのに表札に怒りの気持ちをぶつけて駅まで歩き始めた。 駅に向かう途中でセーラー服の中学生とすれ違う。 私もこのセーラー服を着てケイといっしょに学校に行ってたのになぁ。 「あ、そういえば」 私は道の端っこに立ち止ってカバンの中に手を突っ込んでごそごそ漁った。ポケット部分に手を入れたら指先にこつんと何かが当たってそれが私の探し物だとすぐに気づき、指でつまんでそれを取り出した。 ピンク色のとてもとてもちいさな巾着。 その中には京ちゃんの奥さんの唯さんが買ってくれたローズクォーツのパワーストーン。そして・・・それと一緒に中学校の校章の入ったボタンを私は入れていた。
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