前章

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「おい、お前知ってるか?」 「あぁ?何をだよ。」 ひっそりと静まり返った京の街で、二人の浪士の声が響く。 酔っ払っているのかその顔は赤く、足元もふらついている。 「最近、この辺りにとんでもなく腕の立つ辻斬りが出るんだとよ。」 「ほぉ、そりゃなんとも怖い話じゃねぇか。」 「噂によると、幕府に味方するやつばかりが狙われてるらしい。だからそいつは長人なんじゃねぇかって話だ。」 「はっ、お前はそんなんに怯えてんのか?」 周りをキョロキョロと見渡しながら歩いている同志を鼻で笑うと、大声で叫んだ。 「来るなら来いってんだぁ。俺にかかれば、辻斬りだってただの鼠よぉ。なんたって俺は…」 「天下の新選組、ですもんねぇ。」
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