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花蓮の声は、甘い毒を含んでいるかのように、私を麻痺させた。
頬に触れている花蓮の手から、私の全身に根が張り巡らされる。
そんな中で、私の脳裏によぎるのはーー
蓮の花
極楽浄土の花と言われる蓮の花は、なのに清水には咲かない。
花の下はーーー泥だ。
花蓮の心の中も、もしかしたら底のない泥のような沼だったとしたら。
花蓮とともにいるには、その泥の中に沈まなければならないとしたら。
私は、親友として選ばれたのだろうか。
それとも、先ほどの言葉は、告白なのだろうか。
花蓮の薄桃色の唇が、私の唇を掠めた。
重ならなかったのはーー幸運なのだろうか。
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