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そう言われ、私は今、彼女にどんな顔を見せているのだろう。
「香耶ったら、何を想像しているのかしら。」
クスクス笑う彼女は、周りからは友人と語らう美しい花嫁にしか見えないだろう。
「言っておくけれど、随分苦労したのよ、これでも。先生がなかなか納得してくれなくて。
男の沽券って、そんなに大事なものなのかしら。ねえ?
でも、私頑張ったのよ?先生に認めてもらえるまで、たくさんたくさん先生を気持ちよくさせて。
今はもうすっかり、私の可愛らしい妻になってくれる。
素敵でしょう、香耶。」
考えてはいけないーーー想像してはいけないーーー
彼女の思考が
彼女の言葉が
後戻りのできない泥の沼に誘うから。
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