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パーティーのざわめきも、耳には届かない。
私に届くのは、花蓮の声だけ。
私の全身に張り巡らされた根から、花蓮の甘い甘い毒が回る。
「だって、香耶とも結婚したかったんですもの。だから、香耶だけに特別に見せてあげる。
今夜、写真も撮るのよ、結婚写真。
白無垢のあの人と一緒に。」
血の気が引いているのか、それとも頭に血がのぼっているのか、私にはもうわからなかった。
他の招待客に呼ばれて、花蓮が私から離れる。
その間際に、私の耳元で。
「愛しているわ、香耶。この世で二番目に、女性の中では一番目に。愛してる。」
ああーーきっと、花蓮は先生にも囁いているに違いない。
「愛しているわ、あなた。この世で一番。もちろん、男性の中で一番愛しているわ。
夫として、妻であるあなたを愛している。」
終.
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