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「香耶(かや)にしか言ってないわ。だから、みんなには内緒にしておいてね。」
大学2年の夏に、先生に片思いしていると打ち明けられ、私は誰にも言わないと約束した。
今も、私たちは2人で話している。
大学1年は構内の学生寮に原則全員が入らなければならないが、2年生以上は希望制だ。
2人部屋なので、2年生になるとかなりの人数が出て行ってしまう。
でも、奨学金をもらって通っている私はアパートを借りるお金ももったいなかったし、花蓮とも気があったので2人部屋は苦痛ではなかった。
花蓮こそ、金銭的に十分余裕のある家のはずだ。
なんと言っても帰国子女で、英語とフランス語が話せて、TOEICの点数なんか周りが驚くような高得点だった。
でも、花蓮はずっと学生寮にいたし、私たちは部屋も変わらずいつも一緒だった。
「アパートもマンションも、卒業したらいくらでも入れるじゃない。私は、今しかできないこと、私にしかできないことをしたいのよ。」
そんなことをいう花蓮は、随分と大人で、平凡な私とどうして親友になんかなれたんだろうと思ってしまう。
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