愛すべき愚か者 ーこれもまた一つの愛ー

4/15
前へ
/17ページ
次へ
「あら、柳本先生はなよなよしていないわ。立ち居振る舞いが、上品なのよ。歩き方を見てもわかるわ。それに、教え方は結構スパルタなのよ。」 自分の翻訳を随分直された花蓮は、しかしとても満足していた。 それからずっと、花蓮は先生一筋だった。 「でも、花蓮。告白したの?もしかして、花蓮から?」 「もちろんよ。先生から教え子に、そうそう告白できるものじゃないわ。」 教え子からだってできないとは思うのだけれど。 そして、4年生になり、卒業を控えたこの時期、遂に花蓮は先生を射止めたらしい。 「卒業したら、付き合ってくださるのよ。もう先生と学生じゃなくなるから。」 「おめでとう、花蓮!未来の教授夫人だね!」 まずは准教授になるのが先よ、と花蓮は笑った。 その笑い方も、花がほころぶように綺麗だった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加