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「あら、柳本先生はなよなよしていないわ。立ち居振る舞いが、上品なのよ。歩き方を見てもわかるわ。それに、教え方は結構スパルタなのよ。」
自分の翻訳を随分直された花蓮は、しかしとても満足していた。
それからずっと、花蓮は先生一筋だった。
「でも、花蓮。告白したの?もしかして、花蓮から?」
「もちろんよ。先生から教え子に、そうそう告白できるものじゃないわ。」
教え子からだってできないとは思うのだけれど。
そして、4年生になり、卒業を控えたこの時期、遂に花蓮は先生を射止めたらしい。
「卒業したら、付き合ってくださるのよ。もう先生と学生じゃなくなるから。」
「おめでとう、花蓮!未来の教授夫人だね!」
まずは准教授になるのが先よ、と花蓮は笑った。
その笑い方も、花がほころぶように綺麗だった。
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