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悦ばせたいーー
その言葉の意味を、私はうまく理解できなかった。
それが花蓮にも伝わったらしく、彼女は目を細めて微笑んだ。
「悦ばせたいというのは、男の人と女の人がすることよ。わかるかな、香耶は奥手だから。」
そう言われて、いくらなんでも22歳の私がわからないはずがない。
私が真っ赤になったのを見て、花蓮は優しく微笑んだ。
ああーーなんて美しいんだろう、この人は。
こんなに聖母のように慈愛に満ちた眼差しで私を見つめながら微笑みーーそして、なんてことを告白しているんだろう。
「仕方ないの。きっと、それが私の性癖なのね。男にされたいなんて思ったこと、ただの一度もないわ。
私は、男に対して男のように振る舞い、男を女のように気持ちよくさせたいの。
異常かもしれない。柳本先生はまだ知らないわ。だって、まだキスもしてないんですもの。
だからね、香耶。」
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