愛すべき愚か者 ーこれもまた一つの愛ー

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愛すべき愚か者 ーこれもまた一つの愛ー

「お付き合いする予定なのよ、私たち。」 花蓮(かれん)の告白に、私は驚いて読みかけの本を落とした。 ベッドに腰掛けて、重大発言をした花蓮はニコニコしている。 学生寮の2人部屋で、私はその日とても気軽な気持ちで聞いてしまったのだ。 「ねえ、花蓮。その後、例の片思いはどうなったの?花蓮と付き合いたいって奴、大勢いるんだから、そっちの方がハードル低いよ?」 お互いに親友だと言っている私たちだけの秘密。 花蓮は、大学2年生の頃から片思いをしている。 日本文学の、40歳になるらしい講師に。 それを知っているのは、私だけなのだ。
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