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そんないつも通りの自分たちのやり取り。
何も変わらない日常。
海たちとの会話に笑顔を浮かべる一方で、遥は心の奥で燻っていた不安に思いを耽る。
当たり前にある、この平穏な日常が崩れてしまう出来事なんて、二度とあってはいけないのだ。
「……あるわけないんだ。あんな悲しい事……」
ポツリと、溢すように呟いた彼の声は、ありふれた日常の喧騒の中に消えて行く。
†
午後の授業を終えた昼休み。
「あー……やっと昼ご飯だ……」
椅子の背もたれに、だらしなく凭れた遥の元へ、陽菜たちがそれぞれ椅子持参で集まって来る。
「遥、あんた2時間目の古典から、ずっと寝てたでしょう」
「ちっ、ばれたか……」
離れた席から自分の椅子を運んで来た陽菜の指摘に、密かに舌打ちした遥が欠伸混じりにボヤく。
「だって眠かったんだもん、仕方ないじゃん。しかも隣はこんなごっつい男となったら、余計にだるくなるしー」
「悪かったなっ。こっちも貴様みたいな猿が隣で集中できねぇんだよ!」
隣と、溜め息と共に指差した彼に、すかさず青筋を立てた海が噛みつくが、遥は大袈裟に肩を竦めると、海を無視し、陽菜と共に来た美月に話を振る。
「どうせなら、美月ちゃんが隣だったら良かったのになぁ。そしたら毎日、美月ちゃん(の胸)を見てられるのに」
「あ、明らかに胸を見ながら言わないでよっ!!」
巨乳好きの男だったら堪らない彼女のEカップを見ながら言った 遥を、美月が真っ赤になりながらどつく。
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