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しかし、ほくそ笑んだ彼は全く応えてない。
｢やっぱり色気と癒しがないとね～｣
｢怪しく指をワキワキさせないでよぉ～!!｣
肉食男子の片鱗を見せた遥に、美月は怯える子羊の如くプルプルしてしまう。
｢たくっ、だから席替えを無茶苦茶なクジですんなってんだ｣
遥に噛みつくのを諦めた海が、苛立ち気味に机の上に長い脚を乱暴に乗せると、深い溜め息を漏らしてしまう。
聖華高校は、1年に1度だけ席替えを行うシステムになっており、その方法はクジ引きなのだが、彼らの担任の悪ふざけにより、この結果なのだ。
｢普通は、男女がそれぞれ隣同士になるようにするんだけど、平ヵ崎先生の場合、お構い無しだったもんねぇ～……｣
海の前に自分の椅子を置いた陽菜が、席替え当時を思い出し苦笑する。
一方、彼女が前に座った為、机から脚を降ろした海が呆れ顔で項垂れた。
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