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「遥、あんた……」
「なんて言うか……」
「それってつまり……」
表情をひきつらせた陽菜と美月がそれぞれ言葉を分け、青ざめた遼が続き、肩を震わせた圭介が、とどめに怒鳴った。
「わざと赤点取ってるって事か、このペテン野郎ーーっ!!」
彼のとんでも発言に、昼食のパンを落としそうになりながら、圭介は更に声を上げた。
「いやいやいや、お前、赤点取らなくて良い頭があるなら最初から取らない方が楽だろっ!?」
「解ってないなぁ、圭介くんは」
不敵に口角を上げた遥が次に告げた言葉に、圭介は全力全開で叫んでいた。
「わざわざ苦労して楽な道行くより、楽して楽な道に行った方が良いに決まってるじゃんか。面倒くさい」
「お前は今すぐ真面目に勉強してる世の学生全員に謝れーーーっ!!」
「……は、はは。遥くんって、真面目なのか不真面目なのか解らないよね」
「ただの馬鹿猿だ。気にするな」
慣れてるのか、唯一動じなかった海が、笑顔をひきつらせた遼に呟く。
そんな彼に苦笑しつつ、そう言えばと、遼は話題を変えた。
「海くんって、こないだの総合テストで、また総合1位だったんだよね。本当、見た目に反して勉強できるよね」
「見た目には余計だ。馬鹿たれ」
褒めてるのか貶してるのか解らない彼に、思わず眉を跳ね上げてしまうが、そんな彼をすかさず陽菜が宥める。
「まぁまぁ、海は昔から勉強得意だったからさ、私や美月もよく教えてもらってたんだよね」
「そうね。あたし理数系苦手だったから……」
陽菜の話に頷いた美月が思い出しながら言うが、ふと意味深に笑んだ為、圭介と遼はまたしても呆気に取られる。
「もっとも、あたしの場合。男の子たちがノート見せてくれるから、それ写す だけで済んでだけどね~」
得意げに高笑いした美月だが、とても胸を張れる事ではないと、彼らは心の中で呟いたのだった。
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