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その後、圭介と遼、そして陽菜は、海に教えられながらテスト勉強をし、美月はスマホをいじりながら、陽菜の隣に移動し、時々、テスト勉強に集中する彼女の邪魔をしていた。
そして一番ヤル気のない男・遥は、相変わらず海のベッドでマンガを読んでいる。
「海、ちょっと此処教えて」
「これなら、この数式を……」
陽菜の質問には快く答える海。
「あ、海。俺も、そこが解らねぇんだけど」
「自分で調べろ」
「っお前な……」
陽菜とは雲泥の差で教科書を放り投げた海を、思わず恨めしく睨む圭介だが、放り投げられた教科書に、ちゃんと問題の解き方が書いてあるのに気付く。
「素直じゃねーなぁ」
「うるさい、黙ってやれ」
さりげない優しさが海の良い所だが、本人は照れ臭いらしい。
一方、マンガを読み終えた遥が、次の巻を取りに、窓側にある本棚へ向かう。
「読み終わったら綺麗に直しとけよ」
「解ってるって、っと……」
「どうした」
ふと言葉を切った彼に気付き、海が不思議そうに声をかけるが、窓の外に視線を向けた遥は、口元に小さく笑みを浮かべ応えた。
「なんでもないよ。それより、帰って来たみたいだよ、空ちゃん」
そう言うとほぼ同時に、荒い足音と共に部屋の扉が開かれ、彼女が一直線で海へ突進してきた。
「ただいま、ただいま、お兄ちゃ~ん♪可愛い可愛い妹が帰って来たよ~」
「ぐっ!!」
突進し飛び付いて来た彼女の両膝が腰に直撃し、海が短く呻くが、彼の肩に腕を回し抱き付いた彼女はお構い無しだ。
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