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そんな彼女の背後に迫った彼が、油断していた静流の小柄な身体を持ち上げ、狂喜乱舞する。
「相変わらず静流ちゃんは、小さくて可愛いねぇ~!! 」
「みぃーーっ?! 」
不意打ちでくらった遼からの熱烈な歓迎に、静流は再び猫みたいな声を上げた。
「2ヶ月ぶりだねぇ~。やっぱ、静流ちゃんはこの小ささが調度良いよ。ほーら、たかいたかーい!! 」
気持ち悪いくらいに、締まりのない顔をした遼が、完全に彼女を子供扱いする。
その瞬間、ぶっとく青筋を浮かべた静流が奇声をあげて豹変した。
「ふぉわっちゃーーっ!! 」
「ぐふぅっ!! 」
奇妙な雄叫びと共に、抱き上げられた体勢から、遼の鳩尾めがけ、鋭い蹴りをお見舞いした静流が、彼から離れた。
そして、怪しく眼を光らせた彼女は、その場にうずくまり呻く遼へ言い放つ。
「うちを前にして、小さい、子供、小学生と抜かした輩は、誰やろうと死あるのみっ!! 」
身長135㎝がコンプレックスな静流を、身長ネタでからかうのは命取り。
憐れな遼は未だに鳩尾を押さえ、野太い呻き声を漏らしている。
「本当に相変わらずだな、静流。少しは大人しくなったかと思えば……」
「海に言われたくありまへんわーっ!! 」
復帰早々、暴れる彼女に海が呆れてしまうが、ぶんぶんと短い手を振り回した静流が言い返す。
だが、やっぱり身長差60㎝の彼にはかすりもしない。
一方、彼女とは初対面の梓が、会話に入れずにいた為、気付いた遥が紹介する。
「ああ、ごめん。梓ちゃん、紹介するね。彼女は銀 静流ちゃん。僕らと同じクラスで女子空手部の主将さんなんだ」
「でも、今までいませんでしたよね? 」
遥の説明に首を傾げた梓が疑問に思う。
転入して2週間足らずだが、静流とは一度も顔を会わせた事がない。
そんな彼女へ、苦笑を浮かべた遥が説明を続けた。
「暴漢退治をちょっとやり過ぎちゃってね、2ヶ月間の停学処分を受けて、ずっと実家の京都に戻ってたんだ」
「空手有段者で、舞踊のプロ級。黙ってれば大和撫子美人なのに、中身がアレだからね~」
「みぃっ!! 陽菜酷いですぅっ!! 」
遥に続いた陽菜の紹介の仕方に、思わず静流が叫ぶが、本当の事でしょうと、彼女は肩を竦め笑う。
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