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そこへ、登校してきた渉と楓も合流し、更に賑やかになる。
「ちぃーっす。ずいぶん、賑やかっすねぇ」
「あ、渉くん、楓くん。おっはよー」
一寸前の毒舌が嘘のように、遥がにこやかな笑顔で彼らへ手を振った為、遼は空いた口が塞がらない。
「いったい、朝から何を騒いでたんだい? 」
遠くからでも、彼らの声が聴こえていたと、朗らかに笑った楓の声に、海に羽交い締めにされながらも暴れていた静流が、一瞬にして大人しくなる。
そして、一回転するんじゃないかってぐらいの勢いで首を振り向かせた彼女に、思わず周りにいた海や陽菜が仰け反ってしまう。
一方、その視界に楓の姿を捕らえた刹那、彼女は不思議な鳴き声を発した。
「みっ……」
「み ? 」
不意に鳴いた静流に、遥が首を傾げた瞬間、彼女は忍者もびっくりの瞬間移動をやってのけた。
「みぃ~~♪楓きゅ~ん♪会いたかったどすぇ~~!! 」
「おやまぁ、静流ちゃん」
文字どおり飛び込んできた彼女を、別段、驚いた様子もなく受け止めた楓が、すかさず静流をお姫様抱っこする。
「2ヶ月も会えへんで、うち寂しくて、毎日、毎日、涙で枕を濡らしておりましたぇ」
「僕もだよ、静流ちゃん。ようやく会えたね、おかえり」
猫みたいにゴロゴロとすり寄り甘える彼女へ、楓は愛し気に囁く。
そんな始まってしまったバカップル劇場に、遥と圭介が、げんなりした表情を浮かべてしまう。
海など、とっくの昔に呆れ返っていた。
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