第1話

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可愛い系な顔して、あの笑顔が胡散臭い。 「遥の美月好きには困るね、あれは」 「猿のくせに色ボケやがって……」 苦笑した陽菜に、海が仕方なさそうにうなだれてしまうが、そんな彼らに圭介が呆れがちにボヤく。 「お前らも人の事は言えないだろーが。見ろ、あの女子のピンクな視線を……」 そう言った彼の示す方向には、うっとり顔の女子生徒たちがいた。 「「きゃーっ!!こっち見たぁ~!」」 「海くーん!!」 「良いなぁ、陽菜~!」 「……うぅ、視線が痛いなぁ~」 海に向けられるピンクな視線とは別に、陽菜に刺さる視線はちょっと痛い。 そんな彼女に、美月が仕方なさそうに笑う。 「なんせ、女子のアイドルの海くんの彼女なんだから、仕方ないわよ、陽菜ちゃん」 「それはそうなんだけど~」 苦笑まじりにボヤいた陽菜だが、彼女と海は、6年前から付き合っているのだ。 一時期、陽菜が中学入学と同時に東京へ引っ越ししてしまう事もあったが、中学3年の時、再び細波町に戻って来た。 「 もっとも、陽菜ちゃんの嫌味ない性格が幸いして、ドロドロの昼ドラ展開はなかったけどね」 「あはは、美月ちゃんだったら間違いなく、昼ドラ並みの嫌がらせの嵐だったね」 「……っそ、それはどうゆう意味、遥くん……」 爽やかな笑顔でなかなかの毒を吐いた彼に、美月は泣きたくなってしまう。 確かに、同性から好かれる陽菜とは反対に、異性からは好かれるが、同性からは目の敵にされてしまった美月である。 「仕方ないよ、人より見た目が良い人は、周り、特に同性からは妬まれ易いし」 肩を竦めた遥が、まぁ、でもと、隣にいた海を覗き込み告げた。 「海の場合、男からも別の意味で人気だしねぇ~」 「確かに、番長だしな」 遥の言葉に頷いた圭介も、会話に加わった為、海が眉間に皺を寄せボヤく。 「番長言うな、古臭い」 「だって海、この学校の不良の中で一番強いじゃん。昔から喧嘩も強かったしー」 「入学式で上級生に喧嘩売られて返り討ちにした挙げ句、便乗して来た他の生徒までボコボコにしたのはお前くらいだ」 彼の武勇伝を語る圭介に、確かにと、陽菜たちも当時を思い出す。
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