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「喧嘩売って来る相手、片っ端から潰してれば、そりゃあ、あいつらになつかれるわ。な、聖華のボス猿」
「やーい、ボス猿ー、ボス猿ー」
「誰が猿だ、この馬鹿猿っ!!」
圭介はともかく、小学生みたいな遥の言い方に苛立った海が、取り敢えず彼を蹴り飛ばしておいた。
決して不良と言う訳じゃないのだが、周りは彼を放っといてくれないのが悲しい性だ。
「相変わらず賑やかだねぇ~。すぐに見つけられたよ」
「遼くん」
そこへ、賑やかなやり取りをしながら教室に向かっていた彼らの姿を見つけた、ベビィフェイスな美少年が声を掛けて来る。
長めの前髪で隠れているが、幼い顔立ちがなかなかの母性心を擽る彼は、愛宕 遼(アタゴ リョウ)18歳。
彼ら幼馴染みグループの最後の1人だ。
「おー、朝練終わったか」
「うん、今ね」
朝練と口にした圭介に頷いた通り、遼は剣道部に入部しており、今日は朝練の為、彼らより早く学校に来ていた。
「あ、そういや、遼。お前、弁当忘れてっただろ」
鞄から弁当箱を取り出した圭介が遼に渡すが、この男、とんでもない事を言い出す。
「ああ、そうだった。危なく圭介くんの愛が籠った愛妻弁当を食いっぱぐれる所だったよ」
「つっ!!」
彼の気持ち悪い冗談に、思わず圭介は弁当箱を落としそうになる。
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