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自分の血の気が引いていくのが分かる。
どこだか分からない人気のない山の中。
自分を守る術を持たない女子高生。
三人の男。
先は……見えている。
強く突き飛ばされ、私は木の根元に思い切り尻餅をついてしまった。
雑草が迷惑そうに音を立てる。
不敵に笑いながら近づいてくる三人。
鈍く光る刀を喉元に突きつけられ、思わず強く目を瞑った。
「大人しくしてろよ」
もう、だめだっ……。
「ありゃ?」
人生終わりだと諦めかけた時聞こえてきたのは、この空気に似合わない不思議そうな声だった。
「なっさけねぇなぁ、女子一人に男が三人」
「なっ、何者だっ!」
私に刀を突きつけていた人が慌てた様子で振り返った。
そこに立っていたのは
「大したもんじゃねぇよ」
煤竹色の着物を着た男の人。
三対一だというのに何故か彼は落ち着いており、笑みまで浮かべている。
「ただ、坊ちゃん。武士の魂持つには早ぇな」
彼の笑っていた目が鋭く光った。
「そいつぁ……玩具じゃねぇぜ?」
迫力がある視線から目が逸らせない。
それは私だけでなく、三人の侍も同じようだった。
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