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「なんだとっ⁉︎ 貴様あ!」
逆上したお侍さんが刀を振り上げ、その人に斬りかかった。
彼は舌打ちをして軽々と刀を避け、お侍さんはバランスを崩してよろける。
刀を避けた男の人はすかさずお侍さんの背中を蹴飛ばした。
「ほらよっ」
「のあっ……!」
倒れたお侍さんの手から飛んで行く刃物は、まるで本当のおもちゃのようだった。
「次はどいつだ……?」
二人のお侍さんは血相を変えて叫んだ後、すぐに走り去って行った。
「おっ、おいっ待てっ……」
倒れているお侍さんがよろけながら立ち上がり二人に声をかけたが、既にそこに二人の姿はなかった。
見る見るうちに彼の表情がこわばっていく。
「‼︎」
そんなお侍さんの顔の5センチほど前に刀が落ちて来て、重い音と共に地面に勢い良く刺さった。
落としたのはもちろん、お侍さんを負かした男の人。
「忘れもんだぜ? 坊ちゃん」
お侍さんは慌てふためきながら刀を鞘にしまうと、物凄い早さで道の向こうに消えて行った。
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