第一章 君のいる場所へ

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「な……なんなの……一体……」  本物の刀なんて銃刀法違反でしょ、なんて言う余裕もなかった。  初めて見た本物の刀……  本当に死ぬかと思った…… 「あんた大丈夫か? 怖かっただろ?」  この人は大丈夫だ、危険じゃない。  何故かそれがはっきりと分かった。  ほっとしたら一気に力が抜けて、座ったまま立つことも出来なくなった。 「……お、おい、大丈夫か?」 「え……?」  気づくと頬に涙が流れ落ちていた。  力が入らなくて止めることも出来ない。 「ったく……しょーがねぇなぁ」  男の人は可笑しそうに笑いながら私を軽く抱きしめた。 「怖かったな……もう大丈夫だ」 「うっ……うぇっ……」  私はしゃくりあげながら泣いた。  自分が何処にいるのか分からない。  何が起こったのか理解出来ない。  そんな中襲われかけている。  いくつもの不安に気づかないふりをしていたが、気づいてしまうと涙は止まってくれなかった。  私……こわかったんだ……。  泣き続ける私の頭をその人は優しく撫でてくれた。  大きくてしっかりした身体。  そんな身体に似合わない優しさがなんだか可笑しかった。  抱きしめられていると不思議とほっとする。
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