第一章 君のいる場所へ

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「……どうしよう……」 「お、おい!」  先程引っ張った頬は確かに痛かった。  にわかには信じがたいが、おそらくこれは夢ではない。  現実だ。  ——あーあ……江戸時代に行けたらなぁ……——  私があんなこと願ったから……?  あれのせい?  でも、どうやって、なんでこんなことに……?  考えても考えても、ここに来た理由も、どうしたら現代に帰れるのかも全く分からない。  混乱してその場に再びへたり込む私に、男の人は慌てた様子で駆け寄ってくれた。 「どっか怪我でもしたか?」 「あ、いえ……そうじゃないんですけど……」  あまりの出来事に思考回路がショートを起こし、呆然として動くことが出来なくなってしまった。 「とりあえず、近くに休めるところあるから行くか!」 「はい……」 私はその人に手を引かれ、ゆっくりと歩き出した。
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