第一章 君のいる場所へ

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 彼に案内されて着いたのはすぐ近くの小さな山小屋だった。 「……どうしたら……」  すぐに帰れるのか、はたまた、もう二度と帰ることはできないのか。  座ったまま床をただただ見つめる私に痺れを切らしたのか、しばらく黙っていた男の人が口を開いた。 「……お前、どっから来たんだ?」 「……」  答えるに答えられない。  言っても通じるはずがない。信じてもらえる自信がない。 「まぁ、言いたくなけりゃいいけど」 「ごめんなさい」  男の人は(おもむろ)に囲炉裏の灰を構い始めた。どうやら種火はついていないようだった。  考え事をしているのか彼はしばらく黙っていたが、埒が明かないと考えたのかゆっくり口を開いた。 「どっから来た奴でも構わねえが、この後一人で帰れるのか?」 「そ、れは——」  彼の言葉に思わず口をつぐむ。  気まずい沈黙の時間が流れた。  その空気に耐えられず私は小さく口を開いた。
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